音の再現力が違えば、楽しさも違う!
ヤマハのYDP-163(生産完了)とCLP-635は、クセが少なく、誰もが使いやすいように作られた電子ピアノです。
どちらもスペック的には、鍵盤は完全な樹脂製・スピーカー搭載数が2つと、一見すると大きく違わないように見えます。
しかし価格としては
YDP-163が¥115,500(税込) CLP-635が¥159,500(税込)
約4万円の差があります。
となると

この価格の差はどんなところなの?
と思いますよね。
実際に私も、カタログの数値だけを見てもわかりませんでした。
では、この2機種の差は何かと言うと、「音の再現力」です。
CLP-635のほうが、断然グランドピアノに近い音の鳴り方をしてくれます。
音がグランドピアノに近いほうが、細かい音まで聴き取る力がついて、上達します。
「まず最初に一台買って、ピアノを習い続けられるなと思ったら買い替えても良い」
という方ならYDP-163を選んでも問題ありません。
「無難な価格のものにするよりも、少し良いものを選んで、できるだけ長く使いたい」
と考えるなら、よりグランドピアノらしさを感じられるCLP-635が、間違いなくオススメです。
こんな方におすすめ!
- 買い替える選択肢もアリならYDP-163。
- 少しでも長く使う事と上達を目指すなら、グランドピアノ感のあるCLP-635。
それでは違いを細かく解説していきます。
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性能比較
YDP-163 | CLP-635 | |
鍵盤 | 樹脂製(GH3) | 樹脂製(GH3X) |
象牙調子上げ | ○ | ○ |
エスケープメント機能 | × | ○ |
スピーカー数 | 2 | 2 |
出力 | 40W | 60W |
最大同時発音数 | 192 | 256 |
ヘッドホン機能 | なし | ステレオフォニック オプティマイザー |
価格(税込) | ¥115,500 前後 | ¥159,500 |
スペック的には似ていますが、以下のような違いがあります。
- 鍵盤はどちらも樹脂製。
- YDP-163のGH3鍵盤が持つ特徴をそのままパワーアップさせたのが、CLP-635のGH3X鍵盤。
- YDP-163には、グランドピアノにある「弱い力で鍵盤をゆっくりと押していった時に途中で感じるわずかな引っかかり」を再現したエスケープメント機能がない。
- スピーカー数はどちらも2つだが、CLP-635は音がこもりにくい設計になっているため、より自然な聴こえ方になっている。
- CLP-635は、ピアノの様々なパーツの共鳴音までも再現しているため、よりリアルな響き。
- ピアノは弾く強さに応じて音色が変化する。その音色の変化が滑らかなのはCLP-635。
- CLP-635にはヘッドホン装着時も、自然な聴こえ方を再現する機能がある。
ざっとまとめただけでも、これだけ音に関する性能が違うんですね!
鍵盤比較
どちらの鍵盤も、グランドピアノのように低音域は重く、高音域は軽く感じられるようになっています。
弾いた感触も、劇的な差を感じるほどではありません。
では、YDP-163の鍵盤とCLP-635の鍵盤の違いは何かというと、エスケープメント機能の有無だけです。
エスケープメント機能とは、グランドピアノにもある「弱い力で鍵盤をゆっくりと押していくと、途中で感じられるわずかな引っかかり(クリック感)」を再現したものです。
このエスケープメント機能による引っかかりがあることで、鍵盤がよりコントロールしやすくなります。
特に小さい音の表現がしやすくなる効果があるのです。
ただ、この引っかかる感触は他社のものと比べるとあまり強くありません。
とはいえ、ピアノ教室に数年通って、表現力が高まってきた頃にこの鍵盤の差は分かるようになるでしょう。
音の再現力の、圧倒的な差
CLP-635の音の再現力は、YDP-163よりも圧倒的に高いです。
スピーカー数はどちらも2つですが
ポイント
共鳴音の再現
タッチによる音色変化の滑らかさ
自然な音の余韻
音抜けがよくなる設計
ヘッドホン装着時でも臨場感・立体感がある
これだけの音に関する機能を、CLP-635は搭載しています。
共鳴音の再現力
ピアノは、鍵盤を押すとハンマーが動き、弦を叩きます。
そしてその弦が音を鳴らすのですが、その音に共鳴してピアノを構成する様々なパーツも音を発します。
弦の音とパーツの音が合わさって、ピアノはあの音が出るのです。
CLP-635はそれらパーツの共鳴音もバーチャルに再現しているため、YDP-163よりも音に深みや広がり、繊細さがあります。
タッチの強さによる音色変化
どんな楽器も、弾く強さで音量だけではなく、音色も変わります。
優しく弾けば、柔らかい音・囁くような音。
強く弾けば、鋭い音・激しい音。
CLP-635は、この音色の変化が生ピアノに近い滑らかさになっています。
自然な音の余韻
音は鍵盤から指を離した後でも、伸びて残ります。
CLP-635なら、その音の残り方の表現も自然にできるようになっています。
音抜けがよくなる設計
YDP-163は、スピーカーから音が鳴らされるのみです。
CLP-635は本体内部に音の通り道を作ることで、無駄なく音が響く設計になっています。
音がハッキリとして聴こえる、いわゆる「抜けの良い音」になっています。
ヘッドホン装着時でも臨場感・立体感がある
YDP-163とCLP-635のどちらにも、自然な音の広がりを再現するヘッドホン機能があります。
この機能の効果で、ヘッドホンではなくピアノから音が聴こえてくるようになっています。
さらにCLP-635はヘッドホンを着けていながらも、生音のように音に包み込まれるような感覚をもたらしてくれます。
(※音色がCFXグランドの時のみ)
電子ピアノはヘッドホンを使う事を想定して作られています。
人によっては、環境的にヘッドホンを常用しないと練習できない、という方もいらっしゃるでしょう。
リアルな聴こえ方で練習できることは、そうでないことと比べても大きな差があります。
何より楽しさが全く違うものです。
まとめ
電子ピアノとして、最低限の機能を備えたものがYDP-163。
価格は10万円台ですから、タッチ感や音など、グランドピアノを意識し始める価格帯です。
性能としてはあくまでも最低限ですから、例えばピアノ歴が5年になった時にも満足して使い続けることは難しいでしょう。
表現力を身につける段階になった頃には、性能が技術に追いつかなくなっています。
ただ、ピアノ教室に習いに行っている方の場合、キーボードやスタイリッシュ型で練習するよりもはるかに良いです。
対してCLP-635は、音の再現力がYDP-163よりも遥かに上です。
上達を目指すなら、CLP-635を選びましょう。
良い音で練習すると、音を聴き取る力が鍛えられます。
すると、自分が弾いている音にも細かく注意できるようになるため、演奏力がアップします。
例えば、ピアノ教室に通って3年。
YDP-163で練習してきた人と、CLP-635で練習してきた人では、どっちの人が上手でしょうか?
色々な条件がありますから、一概にこう!とは言えませんが、CLP-635で練習してきた人の方が上手になっている可能性は高いでしょう。
予算の都合がつくのであれば、アコースティックのピアノに近いCLP-635を選んでほしいなと思います!
楽しさが違いますよ!
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