弾き心地・音質、共に優れたクオリティで、長く使えるモデル
2019年4月に発売となった、ローランドの電子ピアノ、HP704を解説していきます。
価格は税込みで¥198,800です。
HP605が生産完了になってからは、ローランドには20万円クラスの電子ピアノが長らく不在でした。

でも、HP603A(16万円)の次がLX705(23万円)なんて、価格の差が開きすぎててお客さん選びにくいよ...。
なんて当時は思っていましたが、杞憂でした。
それと、HP601なんて発売してから1年半くらいしか経ってないのにモデルチェンジさせるとか、よほど売れなかったのかな...?と邪推したりして。
(まあ余計なお世話ですが。)
前モデルよりも音質を向上させている
さて、LXシリーズも、HPシリーズも、700番台にモデルチェンジしてからは、共に「音のクオリティの高さ」を売りにしてきているように感じます。
もともとローランドの電子ピアノは鍵盤の質が高いのですが、それに加えて音の良さも向上させる事で、"電子ピアノとしての更なる高い完成度"を実現しています。
HP704は、一つ上の機種であるLX705との違いといえば音源だけで、鍵盤もスピーカー数も出力も、25万円クラスと遜色ない仕様になっています。
音源が違うと言っても、HP704に使われている「スーパーナチュラル・ピアノ・モデリング音源」は、旧シリーズの最上位機種LX17にも搭載されていた音源です。
音の再現力が非常に高い音源であることに変わりはありません。
演奏者の指の動きに対して、繊細に反応してくれる鍵盤
立体感・臨場感があって、クリアな音質
細かい音まで再現されることで生音のように感じられる音
この上位機種さながらの基本性能の高さが、HP704のオススメポイントです。
HP704はこんな方におすすめ
- グランドピアノをしっかりイメージできるような、タッチも音も質の高い電子ピアノで、しっかり練習できるものを選びたい
- 最近、子供の上達度合いが伸び悩んでいるみたいだから、もっと練習が楽しくなるような電子ピアノに買い替えたい
- 価格が上がりすぎない中でできる限りスペックの高い物を選んで、楽しんでほしい
- 良いものを選びたいが、あまりに上位モデルを選ぶにはちょっと腰が引ける

それをふまえると、HP605はかなりレベルの高い電子ピアノだったんだと思います。
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反応の良い鍵盤
HP704に搭載されている「PHA-50鍵盤」の主な特徴です。
- 動作が正確で安定している
- グランドピアノが持つ、鍵盤を押した時のクリック感を再現
- 滑り止め加工を施した表面
- 樹脂と木のハイブリッド構造で、木の質感も感じられる
動作が正確で安定している
鍵盤の内部には、スタビライズ・ピンというものが装備されています。
このスタビライズピンが入っていることで、鍵盤を押した力がより正確かつスムーズにセンサーに伝わるため、わずかな指の使い方の差に対しても細やかに反応してくれます。
さらに鍵盤の横揺れが抑制されるので、ガタつきがほとんどありません。
演奏中に違和感やストレスを感じないため、集中して弾くことができます。
グランドピアノが持つ、鍵盤を押した時の引っかかりを再現
HP704の鍵盤をゆっくり押していくと、途中で"カクン"とした引っかかりのようなものを感じる地点があります。
この引っかかりは生ピアノにおいて、鍵盤を弾いた後にハンマーが弦の振動を止めずに速やかに離れる仕組みによって発生します。
(ピアノの構造をご存じない方が説明文を見てもなかなかイメージがつかないでしょうから、そういうものがあるんだと思っていただければOKです。(エスケープメント機能 説明ページへ)
この引っかかりを再現したものをエスケープメント機能と言います。
エスケープメント機能があることで、鍵盤を押した感触が生ピアノに近づきます。
さらに鍵盤のコントロール性が高まり、特に弱く弾いた音の表現がしやすくなる効果があります。
滑り止め加工を施した表面
白鍵は象牙調仕上げ、黒鍵は黒檀調仕上げです。
この仕上げは
・指が吸い付くようなフィット感 ・撥水性が高い
この二つの特性を持っています。
そのため長時間演奏して指に汗をかいても滑りにくいので、集中して演奏ができます。
樹脂と木のハイブリッド構造で、木の質感も感じられる
鍵盤の中心を木材で挟みこむことで、さらに反りや歪みに強くなっています。
密度もある鍵盤なので「弾いている!」という手応えがハッキリと感じられます。
また、指が木の部分に触れた時には、自然のあたたかみが伝わってくる作りです。
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立体感が特徴の音
HP704の音の特徴です。
- 4スピーカー
- グランドピアノを思わせる厚みのある響き
- 美しく、立体的な音
- 臨場感あるヘッドホンサウンド
4スピーカー
赤丸で囲った部分がメインとなるスピーカーです。
ここからはピアノ特有の太く迫力のある低音から、ピアノの音の中心とも言える弦などの響きまで、広い音域・音の種類が再生されます。
HP605の時は低音と中心的な音、それぞれ鳴るスピーカーが分かれていました。
しかしHP704は低音と中心的な音が一つのスピーカーから発音されます。
言ってみれば一人二役なのです。
そして青丸で囲った部分のスピーカーからは共鳴音や反射・反響といった種類の音が再生されます。
最適になるよう考えて配置された4つのスピーカーが、奥行き・立体感を感じさせるリアルで迫力のある音を鳴らしてくれます。
グランドピアノを思わせる厚みのある響き
ピアノの音を構成する様々な種類の音が、各スピーカーから再生されているのは前述の通りです。
なぜこのような音の出し方をするのかというと、もちろん生ピアノのような音の聴こえ方に近づけるためです。
様々な音が一体化していながらも、音の分離が良いので細かな音までしっかりと聴き取れます。
成分がそれぞれ違う音を、それぞれのスピーカーから再生させることで、グランドピアノのような厚み・ふくよかさ・迫力などが再現できるのです。
この "音を役割分担させて鳴らす機能 "の名称をアコースティック・プロジェクションと言います。
アコースティック・プロジェクションがあることで、音源の能力が100%引き出され、非常に臨場感のあるリアルな音となります。
細かな音まで聴き取れることで、自分の鳴らしている音にも意識が向き、その結果として表現力が身についていきます。
美しく、立体的な音
ローランドの電子ピアノの音は、何と言ってもクリアで美しい響きが印象的です。
そして4スピーカーや音を役割分担させて鳴らす機能があることで、音に奥行きを感じられるようになっています。
「奥行き」というのは、音がスピーカーからだけではなく、本体の”奥側(向こう側)”からも聴こえてくるような感覚です。
さらに上下左右といった音の位置感覚がハッキリとしているため、生音のような「立体的な音の聴こえ方」をしています。
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HP704のサイズと付属品
幅 | 137.7cm |
高さ | 111.3cm |
奥行き | 46.8cm |
重さ | 59.5kg |
高さ調整ができるイスとヘッドホンが付属します。
Roland HP704 ポイントまとめ
弾き心地・音質、ともに20万円の価格に十分見合った能力を持っているため、グランドピアノをしっかりイメージでき、楽しく練習できます。
最初からこれくらい良い電子ピアノを選んでおけば、色々な曲が弾けるまで上達した時にも十分使い続けられます。
もちろんすでに電子ピアノは持っているけれど物足りなさを感じている方も、HP704に買い替えれば、さらに演奏力はアップするでしょう。
「電子ピアノ」として非常に高い完成度で信頼性もあるHP704。
楽しく練習しながら上達することをアシストしてくれる、オススメの電子ピアノです!
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